2015年8月10日月曜日

キルトメイプルのキャビネット (杢の誘惑編)

中古のスポットクーラーの、ぬるい空気とともにお送りしています。

ひどく暑い夏が続いていますが、工房も例年よりも随分と暑くて、日照り天気が続いているのと建物裏手の植え込みが短く刈り込まれてしまいまして、午前中から日差しがもろにあたる様になったせいです。
ただその分、工房内部は明るくなりましたが・・。


そして、キャビネットの完成姿です。塗装はシェラック塗装で仕上ています。


シェラック塗装はラッカー塗装などの化学合成物ではなくて、樹木に寄生するラックカイガラムシの分泌液をアルコールで溶かしたものを塗布し、保護膜としたものをいいます。

古い高価なアンティーク家具はほとんどすべてこの仕上げです。
当方ではこの製品で初めて導入して、現在まで3個の製品をこれで仕上げています。
すべてキルティッドメイプルの製品でして、この塗装が製品のコンセプトとよくマッチします。



近年ではあまり使われない塗装方法でありまして、長所と短所を鑑みると現在の家具塗装に要求される効果や作業性が見合わないということなのだと思います。

ですが、実際は塗装方法を検討する過程の選択肢に、シェラック塗装が検討項目に入っていないのが本当だと思います。案外忘れられているんだと思います。

工房で家具を製作されている方にはぜひ一度、試していただきたい塗装方法です。フレンチポリッシュがこの塗装方法です。



使ってみて目からウロコだったのが、塗膜が紫外線の影響を受けないことで、生地のままの色が再現できることと、塗り替えが割と簡単にできることです。

テーブル天板などには塗膜自体が弱いのでやめたほうが良いと思うのですが、鑑賞的要素の強いキャビネットなどは、割と使えるんではないかと思いました。


 

 
 
溶剤は市販のアルコールでよいのですが、予算があれば無水エタノールのほうが毛羽立ちが少なくて作業がしやすいと思います。

シェラックは精製度合いでいくつか種類がありますが、今回は透明なスーパーブロンズを使っています。

 

 
 
また、現在制作中のキルトメイプルのキャビネットがありますが、また後日ご紹介できればと思います。

ご一読くださり、大変ありがとうございました。


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2015年7月22日水曜日

キルトメイプルのキャビネット (ちょっともう失礼します編)


うだるような暑さの中、久々の投稿でございまして、パソコンに向かっております。

ご覧いただいている方にはどうでもよいことですが、約三年前の仕事を思い出しながらかいていますので、文章にダイナミズムはありません。

と、いうことで、書きかけていたキルトメイプルのキャビネットの第3部の紹介です。
けっこう前なので工場の様子などが、今と随分違いが見られるなあと思いました。



キャビネットのパーツを仮組しています。R型のボディをうまく加工して結構頑張っています。
巻き戸や開き戸の入る仕様なので、ここでうまくいかないと後で大変ですね。

天板・デッキ部分は綺麗な杢の入ったバーズアイメイプルを使用しています。



台座の部分はタモ材を白っぽく塗装して作ることにしました。R型のブロックを煉瓦積にして、がっしりとしたイメージで製作します。
このころはまだ、タモ材価格は高くはなかった・・。

 

円安をどうにかしてほしいが、反面、国産材に意識が向くことはとても良いことだと思うが・・。



う~ん。なかなか良い風合い。
だが、今思うともっとぐっと目地の面取りを大きくしても良かった。



組み立て完成。残すは塗装のみだが、木目はこんな感じ。

すっごい柄ですね。キルティッドメイプルの柄も入り具合で様々な呼び方が有るようです。ビッグワームとか、ブリスターとかいろいろ有るようです。おもしろいですね。









これは天板のバーズアイメイプル。細かく鳥眼斑が入っていてフレイムという呼称で区分できそうな杢が入っています。

今回の仕事によって、木材の杢の面白と、その後出くわす〝変り杢″の樹海に誘い込んでくれた仕事になりました。


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