2013年12月2日月曜日

キルトメイプルのキャビネット (クラフトの行方編)

いよいよ寒くなってきました。今年もあとわずかですし、来年のことをぼちぼち考えてみたりもしています。

遅ればせながら、木工祭りで製品をご購入いただいた皆様に、感謝を申し上げます。ささやかな売り場ながらも、あしげく立ち寄っていかれる方もいらしたりして来年も参加せねばいかんのではなかろうかと思っています。

また、最近では工業製品とクラフト製品のはざまの中で、この街との付き合い方なども考えつつやり抜かないといかん時期に来ているような気もしています。なかなか深刻です。

そしてお仕事です。

一年前のお仕事ですが、メイプル材の変種3種類をぜいたくに使ってキャビネットを制作させていただきました。メインで使用する材料はキルトメイプルです。

多分というか・・余程のことでない限り、おなじみでない素材です。


これがキルトメイプル原板。 キルテッド杢とも言うようです。

用途としては、ほとんどがプレミアムグレードのギターの表面材に使われていますので、仕入れの段階ではギターのボディが取れる、ギリギリのサイズに既にカットされたものしか国内では流通していないようです。

ちなみに、この杢の出方でも一枚一枚のグレードがピンキリでタグされています。


ですので、この仕入れた板のサイズに合わせて、作る製品をデザインから考えることとなるわけです。

それで、せっかくだから曲げてみようということで、型板にはめてプレスして曲げ成形したもので形を作っていこうと思いました。

必要な曲げのアールを形作るための治具を作っているところです。そんなに何回も使わないので、あんこ部分を骨抜きにしていますが。



出来上がり。オス型とメス型のワンセットで2種類。


こちらは表面の化粧材になる板を、2~3mmにスライスして挽き板にしたもの。今回の製品はキルトメープル以外にバーズアイメープルとカーリーメープルを使用している。

中芯に使う挽き板は、PCメープルにして、5プライにしてラミネートベンディングとした。
やはり専門用語で書くほうが手っ取り早い。


膠テープで挽き板の継ぎ目を合わせてゆく。

説明不足で一般の方にはもう、何をやっているのか伝わっていないと思う。言葉で説明するのはやはり難しい。

 
薄い板をそれぞれに糊付けをしてやり、先ほどの型にセットして型にはめて、プレス機に入れる。

上からの荷重で、板がサンドイッチされると同時に、アールに沿って曲げられる。



時間をおいて接着剤が固まると、曲がった状態で保たれた板が出来上がるというわけです。


つづく


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